構音障害とは..
口や舌の動きに問題があり、音をうまく作れない状態。わかりやすくいうと呂律が回らない状態です。
構音障害は原因別に以下の3種類に分類できます
- 器質性構音障害
原因として、生まれつき口唇や顎が欠損している、舌癌で舌の一部が欠損しているなどが考えられます。 - 機能性構音障害
耳の聞こえに問題がなく、口唇や舌に異常がないにも関わらず、発した言葉がはっきりしていない。 - 運動障害性構音障害
脳卒中などの後天性疾患やパーキンソン病、脊髄小脳変性症などの神経疾患により、発声発語器官に麻痺が生じたり、うまく動かすことができなくなることで起こります。
☑︎ひずんだ発音になる ☑︎がらがら声やかすれ声
☑︎話す速さを調整できない ☑︎声の大きさを調整できない
構音障害のリハビリテーション
ご利用者様それぞれの症状に合わせて、趣味や好きなことを取り入れながら、楽しくリラックスした雰囲気でリハビリを行っていきます。
症状に合わせたリハビリテーション
- 明瞭に話せるように原因を探しターゲット音を絞って発音練習をします。
- 発話がゆっくりになったり小声になったりと不自然さを感じている場合は、何を意識すれば良いかフィードバックしながら練習します。
- 筋力低下が原因の時は、舌・口唇といった発声発語器官の機能運動を行います。
- 体操やストレッチ、身体運動を通して明瞭に話せるように身体を整えていきます。
- 話すことと食べることは密接に関係しています。発音運動をすることでご飯もより美味しく食べられるようになります。
- 必要性に応じて、自主練習のご提案をします。

代替手段の検討
発話だけで上手く伝えられずストレスを感じている場合は、文字盤や意思伝達装置など代償手段を検討します。
環境調整・ご家族指導
その方がどのようにすればコミュニケーションが取りやすいのかを評価し、ご家族をはじめとするその方に関わる方々にコミュニケーション方法をお伝えして、円滑にコミュニケーションが取れるようサポートします。
高次能機能障害とは..
脳は場所によってそれぞれ違う働きをしています。その為、脳卒中や脳腫瘍、事故での頭部外傷など後天的疾患によって脳に損傷が起きると、損傷した部位によって様々な症状が起きる場合があります。
症状は体の麻痺や飲み込みの障害など様々ですが、その中でも記憶や認知機能などの症状を高次脳機能障害といいます。
見た目ではわかりにくい障害のため、周囲の人からやる気がない、なまけているなど誤解を受けて社会生活に支障をきたす場合があります。
具体的に例をあげると以下のようなことがあります。
注意障害
集中力がすぐに途切れてしまう、作業中にいろんな所に目がいってしまいミスが多くなる。
記憶障害
新しいことがどうしても覚えられない、昨日のことをすっかり忘れてしまう。
左半側空間無視
左側の人や物に気が付かずぶつかってしまう。左側の食事だけ食べ残す。
..この他にも失語症や失行、失認など様々な症状があります。
高次能機能障害のリハビリテーション
高次能機能障害のリハビリテーションでは大きく分けて三つのことを行います。
機能練習
障害されている機能を向上するために直接働きかけます。点つなぎや間違い探しのプリントを用いて一つのことに長く集中する力をつける練習などがあります。
代償手段の獲得
保たれている機能を活かして苦手な所をカバーする方法を獲得します。メモを用いて記憶力の低下を補う練習をすることなどがあります。
環境調整
周囲に対して働きかけて生活しやすいようにします。ご家族や周囲の人に高次脳機能障害についての説明やどんな支援があると生活しやすいかをお伝えします。
上記はほんの一例であり、その人にあったリハビリ内容を考えて支援いたします。

失語症とは..
脳卒中や頭部外傷などの脳の後天的疾患により、それまでに獲得されていた「聞いて理解する」「読んで理解する」「話す」「書く」といった 言語機能が障害された状態を失語症といいます。精神的なものから発生することはなく、また声だけが出なくなる失声症とは全く別のものです。
症状は様々で、読んで理解することは得意だけど聞いて理解することは難しい方、相手の言っていることは理解できているのに頭の中に浮かんでいる言葉が 上手く伝えられない方など、得意なこと・苦手なことその方によって異なってきます。
失語症のリハビリテーション
機能練習
絵カードや実物品、プリントなどの教材を用いて機能的なリハビリテーションを行います。また、ご自宅にある身近な物品や、よく使用する物などを用いてリハビリテーションを行うこともあります。
代替手段の検討
また、言いたいことは浮かんでいるのに上手く言葉として表出できない方には「コミュニケーションカード」というものを作成したり、聴いて理解することよりも読んで理解することが得意な方には、キーワードを書きながらお話をしたり、その方に合ったコミュニケーション方法も検討します。
環境調整・ご家族指導
その方がどのようにすればコミュニケーションが取りやすいのかを評価し、ご家族をはじめとするその方に関わる方々にコミュニケーション方法をお伝えして、円滑にコミュニケーションが取れるようサポートします。

摂食・嚥下障害とは..
摂食とは「食べ物を認識して口の中に取り込むこと」、嚥下とは「口腔内の食べ物を胃へと送り込む(飲む)こと」
摂食・嚥下機能とはこの一連の動作のことで、この一連の動作のどこかの段階で障害されることを言います。
摂食・嚥下障害が疑われる症状..こんなことありませんか?
- 食事中や食後にむせることが多い
- 食事中に喉の違和感や、食べ物の残留感がある
- 以前より食事に時間がかかるようになってきた
- 食事中にむせている
- 食べる量が減った
- 体重が減少した
- 食後に声がかれる
- よく痰がからむようになった
- 食事に限らず、よく咳き込むようになった
- 寝ている時に咳きこむようになった
- よく熱を出すようになった
摂食・嚥下障害のリハビリテーション
機能改善練習
- 間接的嚥下練習
摂食・嚥下に関わる口腔・顔面・頸部の動作練習や筋力トレーニングを行い、一連の運動能力の向上を図ります。 - 直接的嚥下練習
適切な食事形態の検討や姿勢・一口量・嚥下の仕方など食事環境の設定を行い、実際に食物を用いて行います。

栄養指導・歯科医師との連携
経口摂取量や体重減少などを評価し、必要十分な栄養摂取ができるよう、栄養補助剤などの提案など、栄養摂取についても指導を行います。
また、歯科と連携し、ご自宅で嚥下内視鏡検査を行うこともあります。
リハビリテーションやご家族指導などにより、誤嚥性肺炎の予防や窒息の危険性の減少を図ります。